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HOTCHEF

手作りで温かい「食事」をコンビニで当たり前に

セイコーマートの全販売商品の中で売上高1位となっているのは、ホットシェフのカツ丼。また、販売数量が最も多いのはホットシェフのフライドチキンだ。現在、セイコーマートの顔ともなっているホットシェフ。元はと言えば、激しい競合環境において他社と差別化するための戦略として生まれた。元来温かく提供するものであるはずの「食事」を、店内で手作りで温かいまま提供することでお客様に喜ばれたい、との思いから研究を重ね、変化と改革を繰り返してきた。


(株)セイコーマート HOT Chef事業本部 支援部

1989年入社、スーパーバイザー、グループ会社の卸部門・営業職を経験後、ホットシェフ事業の開発・拡大・構築等幅広く携わった。関東ホットシェフ部門を任され、茨城・埼玉地区でのホットシェフ拡大、品質の向上に貢献。その後、北海道に戻り支援部 部長として、商品企画や品質が高くより均質なホットシェフの商品を提供する仕組み作りに従事。


「人」が製造するホットシェフをチェーン展開する最大の苦労

1994年、第一号として十勝の足寄店でひっそりとホットシェフの実験が開始された。当時の名前は「そば弁亭」、後に「ホットフード」となり、そして現在多くのお客様に認知していただけている「ホットシェフ」へと変化を遂げた。現在に至るまでの歴史を語ったのはホットシェフ事業立ち上げ初期から事業の拡大・構築に携わってきたMだ。
「今は店をオープンすれば、ホットシェフもうまく軌道に乗る。ホットシェフ事業開始当時からすれば夢のような話。地道な努力があってここまで来た。」とMは語る。
ホットシェフの商品は1つ1つ店舗で働くパートナーと呼ばれるパート従業員が製造している。「人」が製造するホットシェフをチェーン展開する最大の苦労は、パートナーへのトレーニングとその技術の維持にある。仕入れて陳列するだけの商品と違う。機材が整い、食材があっても製造するパートナーがしっかり育っていなければ販売出来ないのがホットシェフ。パートナーに考え方や技術を伝えきれなければ、不完全な商品ができてしまい、お客様にご迷惑をかけてしまう。安心安全な商品を組み立て、マニュアルを作成し、そして製造するパートナーに教える、この重要な役目を担うのがホットシェフのトレーナーだ。簡単に作れる美味しい商品とわかりやすい製造オペレーションの開発がパートナーの意欲を向上させ、店舗の売上と利益に大きく貢献する。「新商品の発売日に売上を見て、やったな、とほくそ笑む事は楽しみの一つ。」とMは語る。

食のインフラとしての機能を発揮

関東でのホットシェフ展開を任されていた時、Mにとって忘れられない出来事が起こった。2011年の東日本大震災だった。赴任していた茨城でも停電と断水、家の中は滅茶苦茶になり、一部倒壊した家屋もあった。店舗への商品配送もままならず、断水が続く中、電気から復旧していった。Mは店舗の周辺住民のために動くようになったオーブンを使ってひたすらクロワッサンを焼き、提供し続けた。ヘトヘトになっても、楽しみにして下さるお客様の声に励まされ、笑顔で働いた。ある店舗では朝からの数時間に700個以上を販売した。自分たちも避難していた中での当時の経験を「セイコーマートのブランド、ホットシェフのブランドに対する誇らしさを改めて強く感じた。」とMは振り返る。SNSにも書き込みがあった。「セイコーマートは給水所より便利だ」と。セイコーマートがまさに食のインフラとしての機能を発揮した出来事だった。

「何を食べたい? 」と話した時に、真っ先に「セイコーマートに行こう、HOTCHEFを食べよう」と言われるブランドにしたい

かつては技術の維持の難しさから限定的な店舗にのみ展開していたホットシェフが、現在のように新店開店時に当たり前のように導入されるに至ったのは2013年以降のことだ。「買い物の休憩に小さなお子様とそのお母様がイートインコーナーでホットシェフのクロワッサンを笑いながら食べている光景を見た時、味と安心への信頼をお持ち頂けていると、ふとした瞬間にこれまでやってきてよかったと実感する。」とMは語る。創業から関わった社員の苦労と、セコマグループ一丸となっての協働、広く全道に展開しお客様にかわいがっていただけるセイコーマートの店舗があったからこそ、ホットシェフという事業が成り立った。ホットシェフはセイコーマート全社をあげて育んできた大切な事業だ。「仲間と共に戦ってきた日々を思うとき、一つの感慨は胸にあります。」一方でMはこうも語る。「しかし、現場の改善も、効率的なオペレーション作りも、戦略的な商品投入も、まだまだ最終的な完成形ではない。若い世代の社員、これから入社してくる世代には、この創造的で革新的な事業を誇りに、斬新で自由な感性で更に改革を引き継いでもらいたい、伝えるべきことを伝え続け、共にはつらつとホットシェフとセイコーマートの未来を語りあいたいです。」
今日においては、小売りだけではなく外食産業の進化、そして人口動態の変化と共に食事のスタイルや嗜好の変化も受けて、食を取り巻く競争環境は増々厳しくまた多様化している。当時のセコマにとって目標であったホットシェフを導入する事自体が当たり前となってきた今日こそ、さらに変化し、次の時代のホットシェフへと常に進化し続けることを使命として仲間と共に走り続けようと、Mは決意を新たにしている。

■HOTCHEF歴史

1994
ホットフード(現:ホットシェフ)1号店 足寄店オープン

1999
現在の主力食材「とんかつ」の店内揚げ開始

2000
離島へのHOTCHEF導入(利尻島)
HOTCHEF店、100店舗到達

2001
コーヒーテスト販売開始

2002
カツ丼CM展開開始(釧路地区限定、静止画でのテスト実施)

2003
「大きなおにぎり」発売

2004
関東(茨城地区)出店

2005
豚丼の前身「しょうが焼き弁当」発売

2006
「豚丼」発売

2008
現在の赤いデザインのHOTCHEFコーナー展開開始

2009
HOTCHEF店、500店舗到達

2010
焼立てパン 開始

2012
大ヒット商品「さんま蒲焼重」発売
コーヒー本格展開 開始

2016
「オリジナルカレールー」発売

ホットフード1号店 セイコーマート足寄店

足寄店 店内の様子

手作りを温かく食べられる「大きなおにぎり」

焼立てパン人気商品 クロワッサン

土用の丑の日新定番「さんま蒲焼重」